極上ショコラ【短】
パーティーが終わる頃、篠原とセリナさんの姿が見当たらなくなった。


ほんの少し目を離しただけだったのに、その間に忽然と消えてしまった二人。


つい考えてしまうのは良からぬ事ばかりで、何杯目かわからないシャンパンを飲み干した後で監督と社長と編集長に挨拶をし、焦燥感を押し込めながら会場を後にした。


一階に到着したエレベーターを降り、フロントスタッフ達の笑顔を出来るだけ視界に入れないように外に出ようとしたけど…


「おい!」


後一歩というところで腕を掴まれ、咄嗟に振り返った。


あたしの腕を掴んだのは篠原で、思わず目を丸くしてしまった。


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