そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

結局、そこに辿り着くのか……


失意の中、車窓から仰ぎ見る空は果てしなく青く白い雲はいつもよりゆっくり流れていた。


普段と何も変わらない空の下。私の人生だけが劇的に変化していく……


「あぁ……あの雲になりたい……そして、借金のない平和な世界へ行きたい……」


軽く心神喪失状態。


すると、焦点が合わない虚ろな目で空を眺めている私の耳元でイケメン弁護士が呪文を唱えるように囁く。


「占い師になれば、借金のない平和な世界に行けますよ……なって頂けますね?」


なんだか得体の知れない大きな力に操られているような気がした。でも、ソレに逆らう術を私は知らない。


だから「……はい」と返事をするしかなかった。


こうして、インチキ占い師、小林鈴音が誕生したのだった……


で、すぐさま喫茶店に強制連行。私がお母さんの後を継ぎ占い師になるとイケメン弁護士が告げると、おっちゃん達は狂喜乱舞。飲めや歌えの大騒ぎ。昼間っから酒盛りが始まってしまった。


確かここって、純喫茶だったよね?なんでお酒があるの?


なんて、訝しげにムッとしていると、おっちゃん達が代わる代わるお酌をしにやって来て「飲め!飲め!」と絡んでくる。


その中でも、あの正体不明のバーバラの帰りを待ちわびている額に傷がある強面のおっちゃんが一升ビンを抱え私の前から動こうとしない。


ご機嫌でお酌しながら「姫は自分がお守りします。この命に代えても……」と大げさなことを言ってござる。


もうどうでもいい。姫でもなんでも好きなように呼んでくれ!こうなりゃヤケクソだ!とことん飲んでやる!


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