呪いのブレスレット
「大丈夫じゃないよ。顔がまだ真っ青だ。まだ休んでいたほうがいい。またあとで迎えに来るよ」

ひかりが亡くなったと聞いて、あたしが心配で飛んできてくれたんだろうな。ちょっと翔平の息が切れている。

「ありがとう……」

「吉村のことは、あまりくよくよ悩むなよ」

「……ん。でも、いろいろ考えたら……」

「酷なようだけど、そういう運命だったんだよ。事故はお前に全く関係ないんだから」

翔平はあたしを元気づけようとして言ってくれているのだろうけれど、そんな簡単に気持ちを整理できるものでもない。

ひかりの最後のお別れに、気づいてあげられなかったあたしはずっと後悔していた。


事故死のひかりはすぐに家族の元へ帰って来られず、検察医による検死(行政解剖)のちのお通夜だった。

ひかりの事故当日に起こった電気が突然消える不可思議な現象はあの時だけ。

安らかに逝けたのだろうかと脳裏をよぎる。

あれはあたしに何かを伝えたかったのか……

いくら考えても考えつかなかった。

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