淋しいお月様
朝の7時。

こんな時間に、私の家を訪ねてくるなんて、ひとりしか思いつかない。

私はゆっくりと玄関のドアを開けた。

「ただいま~」

案の定だった。

そこにいたのは、2週間ぶりに会うセイゴさんだった。

「……おかえり」

「朝まで飲んでたよ~」

そう言って、ずかずかと私の部屋へと入ってくる。

昨日、ステージで何千人ものひとを魅了してたひとだなんて、信じられない。

「布団敷くよ」

「ああ、いいよ。星羅ちゃんのお弁当作らなきゃ……」

私は思わず笑ってしまった。

ミュージシャンが、お弁当だなんて。

「今日は私、休みなの。お弁当はいらないよ」

「そうなんだ。久しぶりだね、星羅ちゃん」

「お久しぶり」
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