淋しいお月様
「どうしたんですか? 私――何かしましたか?」

何だか不安になって私の方からきりだした。

私のいつものお店での愛想が悪いから、ムカついてヤキ入れようかとか……?

「いえ、あの……。唐突なんですけど。あの、僕、あなたのことが好きです」

――☆

好き?

私がきょとんとしていると、若森さんは畳み掛けるように云う。

「いつも可愛いひとだなって、思ってました。一時期お店に来なくなった時、僕、どうしようもなく淋しかったんです」

一時期お店に来なくなったのは、セイゴさんが手料理をふるまってくれていた時期だ。

「それで僕、自分の気持ちに気づいたんです。あなたのことを、好きだって」

「……」

私は面と向かっての告白に、何も云えないでいた。

困ってる? 嬉しい?

自分の気持ちも解らないでいた。
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