イジワル上司に恋をして


――ときは、ほんの少し、遡る。




――あ。雨、あがったんだ。


外が見える、ガラス張りになったこの空間。
ここには、ちょっとした名産品や、キーホルダー、絵はがき。紅茶やお菓子が並んでいる。
その10坪もない小さな店内の入り口にcloseの札を掛けるのが夜の8時。

それから、商品を簡単に整理する。

取り扱いしている数も多くはないので、すぐに整頓を済ませると、次はレジ金違算のチェック。

そこを何事もなく終わることが出来れば、あとは裏。

Privateと書かれた扉の向こうには、長いテーブルがひとつと椅子が4つ。壁側には給湯スペース。
洗い物をささっと終えてテーブルを綺麗にしたら、今日も一日終わった、と「ほぅ」っと息を吐く。


「お疲れさまでした。お先に失礼します」


まだ残っている社員に声をかけて、わたしはその場をあとにした。


お腹空いた……早いとこ、いこっと。


バタン、とロッカーを閉め、傘を忘れずに持って職場を出る。


「あ、もしもし。由美(よしみ)? うん、今終わって向かってるよー」


雨上がりの、まだ賑わっている街中に、携帯を片手に歩き出した。


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