恋物語。




「うぅ…っ」


次々とマイナスなことが頭を巡ってしまい、いつしか涙を流していた。
お酒を少し飲んだ影響もあるのだろうか…?涙が溢れて止まらない。



「どうした…?俺…何か変なことでも言っちゃったかな…?」


そう聞かれて…私は思いっきり首を横に振る。



「じゃあ…どうしたの…?」


井上さんはそう言うと…優しく私を抱き締めた。



「わた…私っ…好きって言ってもらえたこと、が…今でも信じられなくって…っ」



「…うん。」



「でもっ…井上さん、は…“可愛い”って何度も言ってくれて…っ」



「…うん。」


少し…抱き締める力が強くなった。



「私…全然っ…そんなことないのに…私より可愛い子なんて…たくさんいるのに…っ」



「…いないよ。」



「へ…っ」



「言ったでしょ…?俺はキミが好きだって。」



「でもっ…やっぱり自信な…っっ」


そこまで言った所で勢いよく身体が離され、その代わりに…唇を塞がれた。




「っ…」



「これでも…まだ分かってくないの?」


鼻と鼻がぶつかりそうな距離。



「グスッ……お酒…」



「え?」



「お酒、飲んでなくても…好きって言えますか…?」



「…ふふ。」


彼は少し笑いながら私の涙を拭う。



「もちろん。っていうか…あの時も今日も…全然酔ってないから。」


彼は自信満々にそう言うと、




「んっ…ふぅ…っ…っっ」



今度は激しく…私の唇を塞いだ―――。





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