恋物語。




い……井上さん…!?!?え、何で…っ!?何で井上さんが、うちの会社に来てるの…っ!?!?




「ちょっと来てくれないか?話したいことがあるんだ」



「へ…っ!?あ…はい…っ」


内心、焦っているのを悟られないよう必死で繕い返事を返し有田さんの元へと駆け寄っていく。



「な…何でしょうか…?」


有田さんと井上さんを交互に見る。



「これが、ここにいる一番の若手社員。坂井だ。」


有田さんは私の方に手を差し出し井上さんへ紹介しだした。



「どうも初めまして。INT Inter、井上 聡です。」



「//…っ」


井上さんはニコッと微笑み会釈をする。



「ぁ、えと…初めまして…坂井…知沙です…」


井上さんの態度に合わせて私もそう言い会釈を返した。



「それじゃあ、あとのことは…2階の応接間で話そう。その前に坂井はこれ、」



「え…?」


そう言う有田さんに、うちのショッパー(紙袋)を渡される。
中には何やら…洋服が入っている模様。



「これを着て、応接間に来るように。分かったな?」



「……はい…」




直属の上司にそんなこと言われちゃ…断れるわけ、ないじゃんかー…っっ




「じゃあ…上に行って話そう。坂井…必ず来いよ?」



「っ…はい…」


有田さんに、もう一度念を押されるように言われた。




もう一回言わなくたって…重々分かってますってば…。




「では…先に行ってますね?」


再びニコッと微笑んだ井上さんは…有田さんの後を追って階段を登っていった。



「はい…」




ほんと何で…井上さんがここにいるんだろう…?
それもこれも…これに着替えれば分かることなの…!?




何だかもう、訳の分からない感情を抱いたまま…
私はとりあえず手渡されたものに着替えることにした――。





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