ラヴコリーダ
「えっ、あの…」

何でそんなことを聞く必要があるの?

「時間があるかって聞いてるんだ。

迷ってる時間があるなら、イエスかノーで答えろ」

部長が早口で聞いてくる。

「は…はい、あります…」

怒っているような部長の口調が怖くて、わたしは首を縦に振ってうなずいた。

「連れて行きたいところがあるんだ。

そこで一部始終を説明する。

いいな?」

戸惑っているわたしに気づいていないと言うように、部長が言った。

「は…はい、わかりました…」

わたしは人形のように首を縦に振ってうなずくことしかできなかった。
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