解けない恋の魔法
 「緋雪の相手が本当に部長だったら、諦めなきゃいけないんだろうなぁって思ってたんだけど。違うみたいだから、今度積極的に食事にでも誘ってみようかな?」

 少し冗談めかしながらも、恥ずかしそうにする麗子さんがとてもかわいく見えた。
 麗子さんと袴田部長かぁ。
 今まで想像したことはなかったけど、とてもお似合いだと思う。

「麗子さん、頑張ってください!」

「ありがと。部長が振り向いてくれるかはわからないけどね。でもこの気持ちを、今は大事にしたいの」

 本当に恋心っていうのは、突然やってくるんだ。

 しかもハリケーンのごとく、すごい勢いで心の中をかき乱していく。

 厄介だと思いつつ、それは甘い媚薬のように心を侵食していて……
 気がついたら、その熱に浮かされている。

 ――― 私も同じだからわかる。


< 209 / 280 >

この作品をシェア

pagetop