解けない恋の魔法

「そういうことだから、ほかの男と仲良くしないでね」

「え?! そういうことって……」

「ほかの男と食事に行ったり、デートなんて絶対ダメ」

 ちょっと待って!
 さっきの告白自体が、未だに信じられないままだし、本当に本気かどうかも疑わしいのに。
 あの、まだ返事をしていないから、付き合ってはいないと思うのですが。

 頭でいろいろ考えて反論しようと思っていたところに、彼の唇が私の唇にふんわりと触れた。

「ほら、もう唾つけといたからね!」

 思わず身を引いて、ただアワアワとする私を目にすると、宮田さんはアハハと声に出して愉快そうに笑った。

「わ、笑い事じゃありませんよ!」

「ごめんごめん。だってあんまりかわいいから」

 あなたはかわいいと思ったら、そんなに笑うんですか?
 かわいいではなく、おかしいの間違いでは???

 というか……キス、された。

 不意打ちのキス。
 夢でも見たんじゃないだろうかと思うくらい信じられないけれど、唇に……感触がまだ残っている。

 唾つけたってなに?
 ありえない! 全然わからない!!

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