殺戮都市
無駄な体力の消費を抑える為に、怪物達に見付からないようにビルとビルの間を通って北軍へ。


中央部を抜けて、北軍に入った俺はその街の様子に驚いた。


光が……少ない。


南軍も東軍も、店や建物などの照明で明るかったのに、外灯くらいしか光がないのだ。


「暗いですね……田舎の夜って雰囲気だ」


「松田が命令しやがったのさ。『光は俺と、俺が認めたやつ以外は使うな』ってな。王どころか、神にでもなった気でいやがるのさ」


人に照明すらも使わせないのか。


頭がおかしいんじゃないかと思ったけど、そのおかげで北軍に入ったと言う事が容易に分かった。


「人は闇を怖がるからな。明るい場所にいたければ、強くなって認めさせてみせろとでも言いたいのだろう」


と、言う事はだ。


北軍の中で、明るい場所に行けば必然的に松田に会えるというわけか。


自分でそんな事をしているんだ、きっと誰にも負けないという自信があるのだろう。


「気を付けろよ。スラム街の連中は戦い慣れてるからな。俺は平気だけど、お前らはそういうわけにもいかんだろう」


この時俺はまだ、星3レアの連中なら相手じゃないだろうと思っていた。
< 456 / 845 >

この作品をシェア

pagetop