おにぎり屋本舗 うらら
 


午後2時が過ぎ、急に客足が途絶えた。



梢とうららはカウンターテーブルに向かい、遅い昼食をとる。



うららの食は進まず、自分で握ったおにぎりを美味しいとも思えなかった。



梢が言う。


「残さず食べなさい。
きちんと食べないと、体を壊すからね。

仕方ないだろ?向こうは忙しいんだろうさ」




うららの気持ちが晴れない理由は、小泉にあった。



事件から3ヶ月以上経つのに、あれから一度も会えていない。



負傷した小泉は、左足を手術し入院したと聞いたが、

それがどこの病院か教えて貰えず、お見舞いにも行けなかった。



どうやら小泉は、うららに見舞いに来て欲しくなかったらしい。



それは、尋ねるうららに口を濁すSMRメンバーを見れば、気付くところであった。



退院もかなり前のこと。


一月前に退院し、既に仕事に復帰しているとの噂を聞いたが、

それでも、会うことは出来ずにいる。



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