幸せの花が咲く町で

「堤さん、お湯が……」

「あ、あぁ、すみません。」



僕はお茶を淹れ、篠宮さんの前に置いた。



「冷たいお茶の方が良かったですか？」

「いえ、ほっとします。」



小太郎がいないと、なんだか妙に緊張する。
部屋の中には、僕達のお茶をすする音だけが聞こえて……



「あ、ツリバナの湯呑を使えば良かったですね。」

「本当ですね。
じゃあ、お料理の後にぜひ。」

「はい。」



言葉通りに受け取って良いんだろうか？
つまらないことを言ってると思われてるんじゃないだろうか？
湯呑にこだわるなんておかしな奴だと思われてるんじゃないかと気になった。

篠宮さんの態度は特にいつもと変わったところはないというのに、今日の僕はどうも神経質になりすぎてるようだ。



「じゃあ、そろそろ始めましょうか。」