幸せの花が咲く町で
「全く危なかったわねぇ…」

「ごめんなさい、ごめんなさい。」

小太郎も怖い想いをしたせいで、興奮しているようだった。



「大丈夫よ。もう大丈夫。」

花屋の女性が、小太郎の手を握りながら、なだめてくれた。
翔君ママの話では、どうやらその女性が咄嗟に飛び出し、小太郎を抱き上げて、事なきを得たらしい。
ふと見れば、女性の足には擦り傷が出来ていた。



「そうだったんですか。
危ないところを助けていただき…本当にどうもありがとうございました。」

息を整えながらどうにかお礼を言って翔君ママ達と別れ、小太郎と帰りかけた時……
僕は急に気分が悪くなって、その場にしゃがみこんだ。



「大丈夫ですか!?」

またすぐに、花屋の女性が駆け寄って来た。



「だ、大丈夫です。
心配ありません。」

僕がそう言うと、女性は店にとって返し、それからまた僕の傍に戻って来た。



「お家までお送りします。」

「いえ、そんな……大丈夫ですから。」

「お店には言って来ましたから。
タクシーをお呼びしましょうか?」

「い、いえ…すぐ傍なんで歩けます。」

家まではなんとか帰れると思ったが、女性はすでに小太郎と手を繋いでくれている。
結局、僕は女性の好意を素直に受け取ることにした。
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