幸せの花が咲く町で




「こたーーー!」

その時、玄関先でバタバタと音がして、えらく慌てた様子のなっちゃんが帰って来た。



「ママ、おかえり!」

「ただ……あれ?
あんた、入院したんじゃなかったの!?
それと……」

「あ、す、すみません。
私、この先の花屋の店員で、篠宮といいます。」

「花屋の……あ、あぁ、そういえば……」



なっちゃんもあの花屋さんには行ったことがあるから、彼女の顔には見覚えがあったようだ。
そういえば、今まで彼女の名前も聞いていなかったことに、今更気が付いた。

小太郎がどんな風に話したのかはわからないけど、なっちゃんは、僕が急病で入院し、小太郎が家にひとりでいると思って慌てて帰って来たらしい。
彼女…篠宮さんは、今日の出来事を丁寧に話してくれた。



「そうだったんだぁ……それは本当にお世話になりました。
あ、優一……あんたはこんな所にいないで早く寝なさい。」

「でも……」

「でもじゃないの!
さ、行った、行った」

僕はなっちゃんに急き立てられ、二階に追いやられた。
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