ガラスの靴じゃないけれど


望月さんに指摘されたグロスは直したし、少しだけ乱れた髪型も整えたから、これで大丈夫。

トイレの鏡を覗き込みながら思い返してしまうのは、望月さんとの二度目のキス。

朝から。しかも、オフィスフロアの片隅であんなに情熱的なキスをするなんて......。

大胆なことをしてしまったと思えば思うほど、また身体が熱を帯び始める。

こんな状態でオフィスに行っても、仕事なんか手に付かない。

望月さんとのキスを頭から消去するために、私は昨日の出来事をぼんやりと思い返すことにした。


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