・約束

「……まぁ、それなりに。気をつけたり、表では2人では会わないとか…
 最悪、もみ消し…」



‘カノジョ’…の否定はしないのね…。


「大半は、話題づくりのが多いかも…」

「…ふ~ん…」








大通りを抜け、高層ビルが立ち並ぶ並木通りを通り、
幾つかあるタワーマンションの地下へ入り、車を停める。


「春夏こっち」

車から降りると、上階住人専用のエレベーターで雅也の部屋へ向かった。


私はドアを開ける雅也の後ろで下を向いて待った。

「…どうぞ」

促され、玄関に入る。


「うわぁ・・・」

あまりの凄さに言葉を失った。


正面には景色が一望できる、前面ガラス張りの窓。
広いキッチンとリビング、素敵な家具と調和するように配置された観葉植物。

「好きなトコに座ってて」
雅也はキッチンへ立ち、冷蔵庫を開ける。


「…雅也…料理とかするの?」

「…いや。殆ど使ってないかな(笑)」


「勿体ない…こんな素敵なキッチンなのに」


余計な道具もないし…本当に使ってないカンジ。
何食べて生きてんのかしら?






< 40 / 85 >

この作品をシェア

pagetop