豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「何がひどい?」
光恵は自分の作品をけなされたのかと思って、思わず眉間に皺を寄せた。


「ひどいよ、ひどい!」
小デブはまるでだだっ子のように、足踏みをした。


「なんで、俺を脱がせる!?」
孝志は光恵の前にページを開いて置き、ふっくらした指でぽんぽん叩いた。


「ああ、これ……」
光恵は思わずにやりと笑った。
三池も隣で笑っている。


「だって、孝志が脱ぐと女の子が喜ぶから。サービスタイム」
光恵がそう言うと、孝志は絶望的な顔をした。
Tシャツをめくって自分のお腹を見せる。


まるでお餅のように柔らかなお肉が、デニムの上に乗っかっていた。


「今、俺、コレなんだよ! どうしたらいい?」


光恵はこみ上げる笑いを堪えながら「鍛えたら?」と冷たく言い放った。
三池も「あたりまえ」と付け加える。


「そのお腹が六つに割れるくらいが理想よ」
「そんなの無理だよ! どこのボディビルダー!?」
「まだ一ヶ月半あるから、大丈夫だって」
「えええ! どうしたらいいんだよ、もう」
「ここ、見せ場だから、そのぽよぽよしたお腹は絶対になんとかしてね」


光恵がそう言いきると、孝志はがっくりと肩を落とした。


「俺、もう、何にも食べられねー。死んじゃうよお」


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