Candy House
「えーっと、今日はノゾミちゃんの誕生日なのでお酒はなしと言うことで」

上野さんが言った。

あっ、あたしにあわせてくれたのか。

「では…ノゾミちゃん、お誕生日おめでとう!

カンパーイ!」

安部さんの合図であたしたちはグラスをカチンとあわせた。

「ありがとうございます!」

あたしは嬉しかった。

誰かに…それも家族以外の人に誕生日を祝ってもらえることがこんなにも嬉しいなんて、何で今まで知らなかったのだろう。

23歳――社会人1年目の誕生日に食べたケーキが少ししょっぱかったのは、2人には秘密だ。
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