カラダ探し~第三夜~

「あああ……ダメ! 出ちゃダメ!」


必死になって腸が出ないようにするけど、今まで感じなかった痛みが、この時になってようやく感じ始める。


気を失いそうな激しい痛みに襲われても、私はどうする事もできなかった。


最後に、私の下半身がどうなったのか……。


ロッカーの方を振り返った時。


立ち尽くす赤い人に阻まれて、私の自分の下半身を見る事もできずに、振り下ろされるその腕を見ていた。


赤い人の腕が私の胸を貫いた所で、やっとこの苦しみから逃れる事ができるのだと、不思議と安心してゆっくりと目を閉じた。


今日はいろいろ分かったから、明日からが本当の勝負なんだと、薄れゆく意識の中で考えながら。

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