Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「わかった…一晩だけ待ってやる…それ以上は待てない…」


私は契約書を押し付けられて、ようやく解放された。


強引に身体を奪った男の選んだドレス姿で、ホテルを出る。
早く帰ってドレスが脱ぎたい。



頬を掠めるビル風は冷たい。


私は、夜空に向かって突き抜けるビル群を見上げて自分の身の振り方を考える。


勘当同然で長野を出て、高校の先輩だった彼を追って上京。


彼は借金を押し付けて失踪。

好意を持っていた怜様には子供を作り、産むだけの便宜結婚を押し付けられた。


どちらも最低な男性で、男運には恵まれていない…そんな自分を恨めしく思った。




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