イージーラブじゃ愛せない


「なんで?成瀬先輩って悪い噂とかあるの?」

「いや、別にないけどさ」

「じゃあいいじゃん」

「だから良くないっての」


ジョージとはかれこれ2年半友達をやっている。私と同じ新卒でこのインテリアショップへ入社してきた言わば同期で催事部門の所属。今までグループで海へ遊びに行った事もあるし、ご飯や飲みなんか仕事帰りにふたりで行く事もしょっちゅうだ。

かなり仲のいい友達、だとは思う。けど。


「俺、柴木ちゃんが男と飯食いに行くとか、そーとー嫌なんだけど」

「アホか」


これは過干渉すぎるでしょ。ワケわかんないわ。

ジョージはチャラくてお調子モンで別の意味でウザイやつではあったけど。こんな風に人のする事に干渉するようなウザさは今まで無かったように思う。


「あーはい、分かった分かった。ジョージ、私がフレンチ奢ってもらえるの羨ましいんでしょ。しょーがないなー。後で居酒屋おごってあげるから、妬むな妬むな」


ヒラヒラと手を振ってテキトーに交わすと、ジョージはロートーンのアッシュブラウンの前髪をくしゃりと掻き上げて

「あーもう」

と、もどかしそうな声をあげてた。
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