イージーラブじゃ愛せない


……それがまさか、こんな裏目に出るなんて。


「優吾だって男なら分かるだろ~。大切すぎて恋人に出来ない男心だよ~」


頭を抱えて嘆いた俺に、優吾ははっきりキッパリと

「分かんない」

そう言い切りやがった。ちょっとは同情して。


「大切なら僕はちゃんと自分の手元に置きたいって思う」

「手元に置いて壊れちゃったらどーすんの」

「壊さないでしょ、ふつう」

「それは優吾が器用だからっしょ」


俺、対人関係上手いように見えてけっこーヘタクソなんだよ。胡桃はもちろん、優吾とか同期の西島りんかとか、仲いい友達のこと必死で大事にしようと努力してる。


それが恋人ともなろうもんなら、本当にもうドヘタクソ。大事にしてるつもりで傷つけてたり、愛し合ってるつもりで空回ってたり。

本気のつもりが、全然伝わってなかったり。

まさしく、今朝、胡桃に言われた台詞がそうだよ。

『あんたの言う事、チャラ過ぎて信じられない』って……。すげーショックだよ。俺、胡桃にはちゃんと接してきたじゃん。ウソついたり裏切ったりした事ないじゃん。

それじゃダメなの?


「やっぱ、俺が間違ってんのかなぁ……」


大げさに顔を覆った両手の下、俺はちょっとだけ悔し涙を滲ませた。





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