イージーラブじゃ愛せない


帰りのコンビニで買ったサンドイッチと缶サワーを持って自分の部屋へ戻ると、私は着ていた服を脱いで部屋着へと着替えた。

途中、無防備な下着姿になった自分を見てふと思う。

やっぱ、してくれば良かったかなぁと。


もうすぐ冬を迎える窓の外は、今日も冷ややかな風が吹いている。ひとりで寝るよりは誰かのぬくもりが欲しくなる夜。


けど。やっぱ今日はダメだな。


さっきまで一緒だった親友の顔を思い浮かべ、私はあきらめる様にひとり首を横に振った。


一緒にいて心地いい親友は、肌を重ねる度にもっともっと心地いい存在になってゆく。


うっかり甘えてしまいそうになるほどに。


自分の事を包み隠さず打ち明けてくれるジョージ。馬鹿だった若気の至りも、ちょっとだけ複雑な家庭環境も。

ジョージは以前自分の事を『臆病だ』って言ってたけれど、それは違うような気がする。

だって本当に臆病な人はこんなに何もかも曝け出せないじゃん。


最近、ジョージといるとりんに感じていた苦しさを感じる事がある。

素直すぎる感情。どんな自分でも肯定できる前向きさ。

目の当たりにして苦しくなってしまう劣等感は、りんだからやり過ごせていたけれど。これがジョージだとわりと困ってしまう。


だってうっかりセックス中にそんな事を感じたら、何を口走ってしまうか自分でも分からない。


もしも甘ったれた泣き言なんか口走ってしまったら。きっともう友達じゃいられない。

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