現代のシンデレラになる方法


その日兄貴の様子がおかしかったことに、ベッドの上で西原から問い詰められた。


「先生に何かしたでしょ?」

「別に何も、ただ相澤がいじめられてたって話を暴露しただけだよ」

「……必死だね、あの2人を引き離すのに」

「はぁ?お前だって都合いいだろうが」


そう言うと、西原は泣きそうな顔をした。

「……ねぇ、もうやめなよ」

そう言って腕を掴まれる。

「前に嫌いだって言ってたけど、あんた唯一お兄さんの前だと自然に笑うよね?あんな風に笑うあんたが本当に嫌いだなんて思えない。なのに、不幸にさせたいなんて。ねぇ、一体何があったの?」

「……黙れよ。俺の何を知ってんだ」


全て俺の気持ちを見透かしたかのように言う彼女に、目を背ける。

兄貴の苦悩する顔が見たかった、なのに、どうしてこんなに気持ちが晴れないんだろう。

複雑な心情が自分でも分からない。



そして。

こいつは、なんで俺とこんな関係を続けているのだろうか。

兄貴へどう迫ればいいか知りたいと言われたのに、それらしいことは何も教えていない。


だた会えば、やるだけだ。

それもあれだけ自分本位に抱いても、彼女は俺を受け入れ続けてくれた。


一体何が狙いなのか分からない。

結婚適齢期の貴重な2年間を兄貴にとられ、俺で発散したいのか。


ただ、終わった後、彼女はいつも俺に優しかった。

いつも俺が寝ている間のできごとだったのだが。

最近気付いてしまった。


そう、いつも俺が寝たと思ってから、彼女はそっと俺の顔を胸に埋めて頭を撫でてくれるのだ。

……それがすごく心地よかった。


まるでこれじゃ俺が慰められているようだ。




< 68 / 196 >

この作品をシェア

pagetop