【短編】英国紳士は甘い賭け事がお好き!

その日、初めて美麗は稽古をさぼった。稽古をさぼり親に嘘を付き、デイビットに抱かれた。


 デイビットが迎えに来て向かったのは、隠れ家的な小さなレストランで、イタリア料理だった。

 イギリス人のくせに何故イタリア料理なのかと疑問に思ったが、イギリス料理は美味しくないと苦笑したから、聞くのは止めた。

 部屋を取ったというホテルで、やっと美麗は自分が今からどうなるのかと分かったが、もう遅い。

 悪いことをしている、――稽古をさぼって男の人と会っている時点で、麻薬のような、ふわふわした熱が襲っていたから。もう右も左も分からない。


 デイビットが喜ぶだろうからと着物で行ったが、割れ目から手を進入したのはいいが、帯の脱がせ方が分からず、結局美麗が、デイビットの目の前で脱がせて見せた。

 碧眼のビー玉のような瞳が、するすると帯が落ちて行くのをじっと見つめる。それが恥ずかしくて、手を止めると最後はデイビットに前を開かれた。

――綺麗です。

着物を脱がせ、そう言うと、デイビットは美麗を抱きしめた。
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