キミとの距離は1センチ

+゚:10/ こいごころ



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「──……ふーん、で、あんたはそのまま逃走したと。一世一代の告白をしてくれた伊瀬くんのことは放置して、そのまま何も言わずにダッシュで逃走しやがったと」

「……あの都サン、わたしを見るその眼差しがすごく冷たいです……」

「あたりまえでしょ、冷たくしてるんだから」



肩にかかった綺麗な巻き髪を妖艶な動作で後ろに払いのけるその美女は、まったく容赦がない。

座布団の上で体育座りをして縮こまるわたしに、都はズバズバと冷ややかな言葉と視線を投げつけてきた。

胸の前にある丸型クッションをさらにぎゅうっと抱きしめて、わたしは「うーっ」と小さくうなる。



「な、何も言わず、ってことはないよ……あのときわたし、伊瀬に一声かけてから出てったもん」

「へぇ、なんて?」

「……し、『失礼しましたー!』、って……」

「大勢に影響なし!! あんたが伊瀬くんの気持ちを踏みにじったことに変わりはありません!!」

「うぅ……っ」



ビシッ!と、ベッドに腰かけて細い脚を組んだ都が、こちらを指さした。

どんどん追い詰められるわたしの精神状態に比例して、腕の中のクッションがかわいそうなくらい形を変えている。
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