ご懐妊!!2~俺様上司は育メン愛妻家になりました~
「じゃ、行ってくるな」


朝の1コマ。

マイダーリンにして、鬼上司・一色禅は、玄関先で私とみなみに声をかける。
私の腕の中でうとうとしているみなみを見下ろす目は、とろけそうに優しい。
会社の人間が見たら、「すわ発狂か」と思うほど、相好を崩している。


「行ってらっしゃい」


私は彼の頬にキスをしたい衝動をぐっとこらえて、その背がドアの向こうに消えるのを見送った。
行ってらっしゃいのキスは、また今度ね。


「ほら、ここを片付けたら、私たちも行くわよ。みなみちゃんの準備をしちゃいなさい」


おでかけ準備を整えて、リビングで張り切った声を出すのは私の母だ。
母は産後すぐから手伝いに来てくれている。
助かるけど、私とゼンさんの行ってらっしゃいのチューは1ヶ月お預け状態。


「外、暑そうだねぇ」


「8月も末だから、暑いのもあとちょっとよ」


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