不機嫌なアルバトロス
あ…れ…?



フワリ、鼻を掠めるこの香り…


何処かで…


胸が締め付けられるような、どきどきする香り…



好きな香り…



意識を失いかけながらも、私は必死に記憶を手繰り寄せようとする。



「今日は結構な挨拶をどーも」



少し不機嫌な声音でそう言うと、彼は私を一度解放しー



「この借りは返させてもらうよ、櫻田花音さん?」



くるりと回転させて、私と目を合わせた。



目の前には。



金髪のー



男の子。



おお、100点満点。



心の中で呟く。



だけどー



私を知っている?


誰だ?



そしてこんな状況で私が思うことは。



この人かなりタイプだ、ということで。


つまり私はやっぱりダメ女だということだ。
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