異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 少しして気を取り直したようで、唐突に段取りを説明し始めた。

「いいか。質問はオレがするから、おまえは相手の感情を探ることだけに集中しろ。余計な口は挟むな」
「はい」

 班長は自分の耳の中に小型の通信機をねじ込み、それを指さしながら言う。

「オレへの報告は直接しゃべらず、こいつに通信で行え。オレからの指示は端末からメッセージで送る。その方がリズへの報告の手間が省けるし、会話の内容から相手に妙な勘ぐりをされることもなくなる」
「了解しました」

 モニタリングしているリズには、オレの見たもの聞いたこと通信内容などが筒抜けになっている。オレを介することで、班長はオレとリズ同時に指示を出したり報告したりできるということだ。

 班長の指示を受けているうちに、エアカーは港湾地区に入ってきたようだ。車窓から海に浮かぶ大きな船が見える。
 オレの内部記憶領域にある地図では、このまま真っ直ぐ行けば港の突き当たりで海になっていた。突き当たりの少し手前に港の駐車スペースがある。エアカーは徐々にスピードを落とし、その一角で止まった。
 車の扉が開く間際に、班長がオレに言う。

「よし、行くぞ。シーナ、命令だ。今からいいと言うまで人間のフリをしろ」


 声紋照合。命令権限者ラモット=ベルジュロンと一致。
 命令権限者の命令受理。
 生体反応システム作動。


 人工知能がラモット班長の命令を受理し、勝手にオレの口を使って返事をする。

「了解しました」

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