SweetS Time ~君はマシュマロ~
いつもの理子だ。
さっきのは……幻覚か?
俺、疲れてる?

串にバナナを刺し、フォンデュ鍋のチョコレートソースにくぐらせる。とろりとしたチョコレートがバナナを包む。
可愛らしい唇が開いて、チョコレートの帽子を被ったバナナが……。

ふっ。
何度も食べ物を口に運ぶ、理子の口もとを見てきた俺だぜ。
これくらいじゃ妄想に走ることもなくなった。

大人の余裕ってやつか?
笑って見ていられるぜ。

無邪気に喜ぶ理子、やっぱり可愛いなぁ。
幸せそうでなにより。
時間がない中で、頑張って用意した甲斐があるよ。

「一樹、ありがとう。美味しい! バナナとチョコってほんとうに相性いいよねぇ」

無邪気に笑ってみせる理子の表情を見て、一樹が吹き出した。

「口の横、チョコレート付いてる」

自分の口もとを指さして一樹が教える。

「本当?」

恥ずかしそうに苦笑いを浮かべ、唇からピンク色の舌が出てきて、チョコレートを舐め取った。

ピンク色の舌が……ペロリ。

ピンク色の舌。
ペロリ……。


一樹がごくりと喉を鳴らした。
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