奥様のお仕事
「手出して マリン」


「え?」


私が両手を差し出すと浩一郎は左手だけをとった。


「クリスマスプレゼント・・・・」


左の薬指にスーツと浩一郎の指と一緒に冷たいものが
滑り落ちて行った。


「これって」


「マリッジリング・・・・・
これがないと やっぱ始まらないからね」


薬指にシルバーに光る指輪
そしてその中心がキラキラ光っている。

左指を顔の前に広げた。


「夫婦だからね・・・・これがないと・・・・・」


夫婦だから・・・・・・・


「結婚指輪・・・・・・」



「悪いけど左の薬指につけさせてもらった」


「素敵・・・・・」
指輪があまりに素敵で 私は感動している。


浩一郎の手が 私の顔の前で広げられた。


「俺にも つけてくれる?
一人だけでつけてても ダメだし」


男の人なのに 綺麗な指をしている。
ドキドキドキ・・・・・・


その薬指に お揃いの指輪を 滑らせる。


「勝手に選んできちゃったけど 気に入った?」



「いいの?こんな高そうなの・・・・・
それに 結婚指輪・・・・・・・」


「いいさ 俺たち夫婦だからね」



「あ そっか 夫婦・・・・・だもんね」


私と浩一郎の偽りのマリッジリングがクリスマスの夜
左の薬指に輝いた・・・・・。


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