続*時を止めるキスを —Love is...—


そう言ってようやく破顔した柚さん。今度は、「円佳の彼氏は?」と反撃に転じたようだ。

「ああ、付き合ってまだ3週間です。
でも、そのうち別れるかもしれません」

お酒を飲みながら軽く答える彼女に、思わず「なんで!?」と声を上げてしまう私。


「んー、色んなツテがあると、イイ男の情報ばかり仕入れちゃって。
いつの間にか、妥協するよりも上を求めちゃうくせがついてるみたい。
あーあ、これだと私もこじらせ女子まっしぐらかなぁ」

「……それは否定しないわ」

「柚さんひどいですね〜」と、あははと笑うふたりを前に顔を引きつらせてしまった。

美女の応酬って、どうして異様な空気感があるのだろう?……凡人は傍観するに限りますな。


すると、前方の美女ふたりがこちらへ同時に視線を寄越し、揃ってこう告げた。

「私たちの心配なんかより、包囲網はすぐそこよ?」と。


——それはつまり、ふたりにとって龍がハンターの位置づけということで間違いありませんか?

「……じゃあ楽しみです」


「おお!瀧野に一刻も早く捕獲しろって教えて、私への貢ぎ物確保しなきゃー!」

「えー、いいなー!私も便乗させて下さいよ〜」

「ちょっと柚さん!ちょ、円佳まで……!」

向かいの席でスマホを操作し始めたふたりに、悲鳴にも似た声を上げる私。こんな私たちに、普通の女子会は似合わないらしい。


でも、以前はこんな席で愚痴しか零れなかったことを思えば、龍のおかげで心が存分に満たされているのだと実感できた……。


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