むとうさん
勝手に1人で考え込んで、殻に入っていくのだ。

いつから世の中は前向きなこと、執着しないことが良いとされるようになったのか。

グダグダ後ろ向きでいたい。意地を張ってる自分も認められたい。素直がもてはやされるのが気に入らない。表面的には物分かりよく、スマートでいたい。それくらいは、格好つけたい。

だから怒って追いかけることも、ひどいと非難することもしない。

どう見ても私達は終わってるかもしれない。終わってない理由を探して、これ以上踏み込まなければまだ終わってない、勘違いだったとできる。

でも頭では終わってるって薄々気づいてる。妻子持ちなんて、追いかけても無意味だと。

電車はいつもの駅に定刻通りついて、私は電車からも見える、我が社へと入っていった。
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