毒舌紳士に攻略されて
トラウマとさようなら
月日は流れ、十二月に入った。
すると師走ということもあって寒さは一段と増していき、通勤時にはコートやマフラーといった防寒具が必需品となっていた。
そして仕事も年末が近づくにつれて忙しさを増していた。



「佐藤さん、これやっておいて」

「……はい」

いつもの如く先輩に仕事を押し付けられてしまい、嫌とは言えない自分に情けなくなりつつも、やっぱり「お断りします」と言えないのは、先輩の言葉に棘があるからかもしれない。

少し前までだったら押し付けられるにせよ、「悪いんだけど」とか「お願いできる?」っていう言葉が付加されてきたというのに、最近では一方的な言葉ばかりだ。

「ちょっとめぐみってば、また仕事押し付けられたの?」

書類を片手に席に戻ると、周囲に聞こえないよう琴美が声を潜めて聞いてきた。

「まぁ……」

つい苦笑いを浮かべてしまう。

琴美の言う通り、“また”なのだ。
それもこれも、あの同期会が原因だった。

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