毒舌紳士に攻略されて
彼の様子がおかしいんです。
「坂井君がおかしいの」

「……は?」

同期会を一週間後に控えた金曜日のランチ。
いつものように琴美と一階にある社員食堂へと来ていた。
市街地より少し離れた場所にある本社。おかげで巷のOLのように、カフェなどでオシャレにランチとはいけない。
本社勤務の社員のほとんどは社員食堂を利用している。
毎日満席御礼なものの、社長の計らいで社員食堂のクオリティは高く、よく社員食堂は飽きると言うけれど、ここでは誰もそんなことを言う人はいないと思う。

五穀米をはじめとしたヘルシーランチを食べながら、目の前に座る琴美は顔を引きつらせた。

「あのさ、主語を言ってくれないと全く意味が分からないんですけど」

「そのままよ!坂井君がおかしいの!!」
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