毒舌紳士に攻略されて
まさかの求婚!?
花の週末金曜日。
明日から休みの人が溢れる駅前広場。
その中を全力疾走している私……。
目指す先は同期会の開催場所だ。


「遅い!幹事だって自覚あるのか?」

「ごっ、ごめん」

既に同じく幹事の坂井君は辿り着いていて、痺れを切らしたのか店先で腕を組んでは、いかにも「不機嫌です」と言いたそうに立っていた。
息も途切れ途切れになりながらも謝るものの、坂井君のご機嫌はなかなか直ってくれない様子で、いまだにふて腐れているようにも見える。

遅れてきた身分でさすがに言えないけど、遅くなってしまったのには半分は坂井君にも責任はある。
あの日……坂井君からまさかのお誘いを受けた日から、仕事に集中することが出来ない日々だった。
それにあんなこと言っておいて、彼に至っては何も変わらないし。
今日までずっと毎朝自宅まで迎えに来ていたし!……でもあの日の話題を出してくることはなかった。

そうなれば必然的にワケが分からなくもなる。
あれは冗談だったのかもしれない。でも冗談を言わないと言っていた。
矛盾する言動に心はかき乱され、仕事が押してしまい同期会当日だというのに、残業するはめになってしまったのだ。
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