イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「一回試しに誰かと付き合ってみればいいのに」

「それで誰が得するんですか?」

 得?

 恋愛に得も損もないと思うが……。

「誰がって……。ここで議論してたら朝までかかる。もう行くよ」

 再び強引に指をからめ、店の中に入る。

 さすがに今度は人目を気にして悲鳴を上げなくなった。

 だが、桃華はひどく居心地悪そうにしてる。

「桃華も協力してくれないと、ワシントン行くはめになるよ」 

 桃華の耳元でわざと囁く。

 すると、彼女は一瞬身体を強ばらせた。

 この反応、面白い。

 今夜はいろいろ楽しめそうだ。

 フッと微笑しながらカウンター席の方を見ると、私服姿の男性と目が合った。
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