イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
8、私は諦めない ー 桃華side
 目の前の光景を理解するのに時間がかかった。

 頭ではわかっていても、心の中では認めたくないんだと思う。

 悪夢を見ているような……。

 そう、何度も悪夢だと思おうとした。

 そもそも私は本当にシャーリーを買ったのだろうか?

 それさえも夢だったのかもしれない。

 瑠海にタクシーに乗せられ家に帰るが、自宅の鍵をあの店に忘れ、兄に鍵を開けてもらった。

「桃華、どうした?」

 ドアを開けた兄が私を一目見るなり瞳を曇らせる。

 私は相当ひどい顔をしていたらしい。

「お前の相棒はどうした?」

 シャーリーがないのに気づき兄が私に聞いてくるが、シャーリーの事を話そうとするとまた涙が込み上げてきた。

「だ、駄目になっちゃった」

 上を向いて何とか涙が溢れそうになるのを堪える。
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