イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 兄はそんな私にハンカチを差し出し、私の頭をポンポンと軽く叩いた。

「風呂沸いてるから入ってこい」

「……うん」

 兄のハンカチで目を押さえながら、そのままバスルームへ向かう。

 お兄ちゃんの優しさに益々涙腺がゆるんだ。

 ハンカチが涙でじわじわと濡れていく。

 兄は詳しくは聞かない。

 言葉にしなくても、私がどれだけ悔しいか察してくれる。

 多分、家族で私がどれだけシャーリーが欲しいか一番よく知ってるのは兄だ。

 今の私には有り難い。

 とにかくひとりになりたかった。

 お風呂に入って目を閉じても、あの光景が浮かんでくる。

 私のシャーリーが一瞬で駄目になる。

 何故私のシャーリーなの?
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