薫子様、一大事でございます!

……すごいわ、滝山。
調理人も顔負けじゃない。


「旨い!」


鍋の縁についたカレーを指でペロリ。

北見さんも大絶賛だ。


「これでまた、カコちゃんの出遅れは決定だな」

「はい?」

「嫁行きがますます遠のいた」


え……。


「……そんな」


クククと北見さんが笑う。


そんなことはないと言い切れない自分がもどかしい。


「ささ、出来上がりましたぞ」


皿に取り分けたカレーがテーブルに並べられた。



嫁行きVS空腹。



勝ったのは空腹の方だった。

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