薫子様、一大事でございます!

滝山の言葉通り、革張りのソファは見違えるほど綺麗になったし、デスクだって傷に目を瞑ればピカピカだ。


多少、引き出しの開けにくさはあるけれど、十分に使える。

贅沢は言っていられない。


そして、私と滝山の部屋の家具は、芙美さんの息子さんと娘さんが以前使っていたものを譲ってもらったものだった。


「使い古しで悪いけど」


申し訳なさそうに芙美さんは言うけれど、私たちには本当にありがたかった。


「薫子ちゃんは健気だねぇ」


芙美さんがしみじみ呟く。


「だからつい応援したくなっちゃうんだよね」

「芙美さんがいてくれると心強いです」

「そう言ってもらえると、俄然張り切っちゃうわ」


右腕を振り上げて、握りこぶしを作ってみせる。


鬼に金棒どころじゃない。


それが本当に頼もしくて、芙美さんと一緒に笑った。

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