薫子様、一大事でございます!

時刻は午前10時過ぎ。

張り込みを開始して2時間が経過していた。


いつも同様、北見さんはその姿をさりげなくデジカメで撮影。

井上さんと適当な距離を開けて歩き出した。


まず最初に着いたのは、歩いて5分ほどの駅。

そこから電車に乗ってどこかへ行くらしい。


Suicaを持っていない私は、北見さんに急かされながら切符を買い、大急ぎで井上さんを追った。


「急げ!」


ホームから大きく手招きをする北見さん。


「ま、待ってください」


エスカレーターを駆け上がり、北見さんに続いて電車に飛び乗る。

寸でのところで扉は閉められたのだった。

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