薫子様、一大事でございます!
夕食時を過ぎた住宅街は、静かな時間を迎えつつあった。
「……どうしよう、滝山。やっぱり見つけられないのかしら」
「そうですねぇ……どうにかなると思ったのは、間違いだったのでしょうかね」
出てくるのは弱気な言葉ばかり。
歩く足取りもどんどん重くなっていく。
迫る闇が、更に私たちを追い込んだ。
「……やはり、薫子様はだんな様の言いつけ通りになさった方がよかったのかもしれませんね」
「そんな! それは絶対無理よ!」
突如出て来た滝山の言葉に、つい拒絶反応を示した。
弱音を先に吐いたのは私だけれど、それだけは絶対にイヤなのだ。
「DCHなんて、考えられないもの!」