メランコリック
自由が丘から中華街方面の東横線に乗る。
ほどなく、私の最寄り駅につく。

駅から12分。
閑静な住宅地の一角にあるアパートが我が家だ。
周りの家屋の中でも古い部類で、昭和の香りがしそうな木造アパート。この古ぼけた部屋が私は割と気に入っている。

部屋の郵便受けに荷物の不在連絡表が入っていた。
祖母からの荷物があるようだ。

ドライバーの携帯にかけたら、まだ近くにいるらしい。

部屋で待っていると1時間ほどで宅配便が届いた。

祖母からの荷物はじゃがいもと玉ねぎが山のように入っている。カボチャも大きなものがひとつ。お米も五キロ。
お米はともかく、野菜はひとりで消費するのが大変そうだ。

こんなにいらないよ、と言っても、いつも祖母からの荷物はたくさんだ。
野菜の他に、冷凍された祖母特製の味噌煮込みがある。
私にとってのお袋の味。解凍して、明日食べよう。

『元気にしていますか?』

たったそれだけの手紙に、祖母の心配と愛情を感じた。

東京のはずれ、山間の町に住む祖父母は、私には両親の代わりだ。
成人しても、社会人になっても、いつだって私を気遣い心配してくれている。
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