冷徹執事様はCEO!?
『近々、社長と私的に付き合いのある会社の50周年記念のレセプションが催される』

「へえ…？」

突然何を言い出すのだろうと頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

『しかし、私はこのとうりオランダだし、匠はレセプションの当日に出張が入っている』

「はあ…」私は間の抜けた相槌を打つ。

やはり話しの流れが変な方向を向いて来た。

『燁子が行ってこい』

やっぱり…。

「無理だよ」私は即答した。

『ニコニコ笑って、花束を渡し、2、3言お祝いの言葉を言えばいい』

「航生の行かせてよー。あの子なら卒なくこなすでしょ」

『航生は忙しいからな』

私は暇、だと言いたいのだろう。実際、会社に行く以外はだいたい暇なんだけど。

「戻ってきたのならお前は葛城の人間だろう」

「まあ、そうだけどさ」

さすが経営者。痛い所をついてきやがる。

「だけど無理だよ。私レセプションなんて学生の頃に、パパの付き添いで何度か行ったっきりだもん」

『それについては大丈夫だ。お前一人じゃ不安だろうから田中くんにも一緒に出席してもらうよう私の方からお願いしておこう』

それは「お願い」という名の業務命令だろう。
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