冷徹執事様はCEO!?
「見たでしょ?!」

私は不機嫌そうにフルーツのどっさり乗っかったパンケーキを切り分ける。

「何を見た、と尋ねているのでしょうか」

「ド派手なランジェリーよ!」

テーブルに勢いよく手をつく。

「…ッブフ!」

ムキになった田中は口元を押さえ、吹き出した。

やっぱり見たか…。

期待通りのリアクションに田中はご満悦のようだ。

本っと腹黒い執事ね。

苛立ちながら、私は大口でバクリとパンケーキを食べる。

「燁子様、クリームが付いてます」

「ここ?」口元の右側を手の甲で拭う。

「ああ、逆に広がりました」

田中は私の顎を掴んで、自分の方に向かせる。

綺麗な顔が間近に迫ると不本意ながらドキドキしてしまう。

「ここです」と言って、田中はナプキンで優しく頬を拭ってくれた。

「ありがと」

照れて思わず頬が緩む。

お世話をしてもらうと自分が大切にされてるようで、ちょっと擽ったいけど嬉しい。
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