イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


もしかしたら……本当にもしかしたら。風間は私の事が好きなのかもしれない。

そんな、うぬぼれみたいな事を初めて思ったのはいつだっけと考えてみたけれど、明白には思い出せなかった。
恐らく、祥太との事で相談してて、その時に向けられた表情とか視線とか言葉とか、そういうものの中に、あれ?って何か想いみたいなものを発見して。

普段、女の子には冷たい風間が、私にはそうでもない気がするけど……でもそれは、友達だからってだけだろうし。
むしろ、女として見られてないからだろうし。そもそも風間は祥太の友達で、私は祥太の彼女だし。
……うん。まさかね。私のうぬぼれか。

なんて、ただの思い過ごしだと流してきた風間の気持ち。
それなのに、その後も何度も何度も風間が私に向ける態度や視線に特別なモノを感じとってしまい……事実がどうか確かめる事無く迎えた、あの裏切りの夜。

優しく触れる指先に、熱い眼差しに、風間の気持ちをはっきりと悟った。
それまでぼんやりとしか見えていなかった風間の想いがはっきりと見えて……何にだか締め付けられた胸に、涙が溢れたのを覚えてる。


三田さんとの一件があった翌週。
閉店時間が迫った店内で片づけやら郵送物のまとめやらで忙しく動きながらそんな事を考えていた。

文化祭以来、風間と何かあったわけじゃないし、村田さんと鉢合わせたカフェ以来、祥太と何かがあったわけでもないけど。
なんとなく最近は……というよりも、身体の関係を持ってから風間の事を考える時間が増えてしまった気がする。


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