イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


通っていた高校の文化祭が土日で行われると知ったのは、メールでだった。

卒業後、同窓会用にとほぼ強制で登録させられたアドレス。
本来だったら同窓会のお知らせ以外にはこないハズのメールアドレスから、文化祭のお知らせが届いたのは別に珍しい事ではない。

甲子園出場なんてなれば寄付金のお願いが週一でくるし、この間なんて校長が代わったなんて卒業生にとってはどうでもいい事まで送られてきた始末。
この文化祭のお知らせだって卒業してから毎年くるから、今回ので六回目だ。

誰が管理しているのか分からないけど、相当マメなんだと思う。
それとも、赤字を出さないために必死なのか。

毎年お知らせされたところで卒業してから六年間行った事はなかった。
特に一緒に行きたい相手もいないし、学校に会いたい先生もいないし。

ああ、今年もそんな時期か……なんて、ぼんやり思ってメールを閉じるだけで。

今年だってそれは一緒のハズなのに、それでも行こうかという気になったのには、私の気持ちの変化も関係あるのだろうか。

「……なんで風間がくるの」

六年ぶりの母校の校門を前に隣に立つ風間を見上げると、その向こうに見事な秋晴れの空が広がっていた。
高くすがすがしいほどに青い空がまぶしい。

十月に入った途端に姿を消した夏の空気に変わって、短い秋が空を占領している。



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